Caroline Says II / Lou Reed | Real Thing


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Caroline Says II / Lou Reed

Lou Reed


キャロラインは言う
床からようやく立ち上がって

 どうして私を殴るの?
 何がおもしろいの?

キャロラインは言う
眼の下の痣を化粧で直しながら

 私のことなんかを考えるより
 あなたはもっと自分自身について学んだほうがいいわよ

しかし彼女は死ぬことなど恐れていない
彼女の友人たちはみんな
彼女を「アラスカ」と呼んでいるんだ
彼女がスピードでらりってしまうと
みんなで彼女を笑いものにして、そして尋ねる

いったい何を考えているんだい?
その心の中にあるのはなんなんだい?

キャロラインは言う
床からようやく立ち上がって

 私を好きなだけ殴ってもいいわ
 でも、もうあなたを愛していないの

キャロラインは言う
唇から滴り落ちる血を舐めながら

 人生ってもう少し意味のあるもののはずよ
 これじゃ酷いトリップだわ

しかし彼女は死ぬことなど恐れていない
彼女の友人たちはみんな
彼女を「アラスカ」と呼んでいるんだ
彼女がスピードでらりってしまうと
みんなで彼女を笑いものにして、そして尋ねる

 いったい何を考えているんだい?
 その心の中にあるのはなんなんだい?

彼女は握り締めた拳で ガラス窓を突き破った
何だかおかしい気分だよ

アラスカはとても寒い
アラスカはとても寒い
アラスカはとても寒い・・・

ベルリン
BERLIN Lou Reed

Happy birthday dear Caroline・・・から始まるアルバム「Berlin」に出てくるCaroline。
このアルバムは、ベルリンを舞台に綴られる物語構成になっています。
それはまるで一本の短編映画のよう。

冒頭でハッピーバースデイと祝われるCarolineが堕ちていく有り様は哀しく寒々しい。理想どおりの人生は遥か遠く、当て所も無い。
ギターの音色が美しく歌声も語りかけるように優しいので、尚その陰影が際立ちます。

この曲のあとには「The Kids」という曲が続くのですが、本当の赤ん坊の泣き声が挿入されている箇所に差し掛かるといつもドキッとします。
泣き声が入っていることは何度も聴いて知っているはずなのに、いつ聴いても不安な気持ちにさせられる声なのです。
赤ん坊の泣き声というものにはちゃんと種類があって、お腹が空いているときの泣き声を甘えているときの泣き声と怒っているときの泣き声と全部違うのですよ。それは母親の耳を持っていれば聞き分けられるはず・・・(普通であれば)
ここで挿入される泣き声は「母親不在」への危機感と不安感です。こどもにとっては母親の不在は自分の生存に関わる重大事ですからね。
Lou Reedの凄いところはその不安感を描きながらも、決してその痛みを棄て去るような作品ではないところです。「Caroline Says II」でもそれは同じで。
他者の痛みを癒す事など容易いことでない と知っているんですね。だから、救いの無い物語を紡ぎながらもどこか優しい。冷淡なひとには絶対に作れない作品だと思います。
人間の心って不思議なもので、前向きで表面的に美しい言葉ばかり並び立てた歌詞では落ち込んでいるときは却って白々しく感じてしまうことってあるんですよ。そんなわかりきったこと、今は聴きたくないよ・・・というか。
一緒に堕ちてくれる歌が結果的に慰めになるってこと、あるんですよね。

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